登記官は、地方公共団体等の公共事業等を実施しようとする者からの求めがあった場合、当該事業を実施しようとする区域内の土地について、所有権登記名義人の死亡の事実の有無を調査します。

その結果、当該土地が次の二つの要件を満たす場合、長期間にわたり相続登記等がされていない土地(長期相続登記等未了土地)である旨を付記登記することになります。

  • 特定登記未了土地に該当すること
  • 所有権の登記名義人の死亡後10年を超えて相続登記等がされていないこと

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

第二条(定義)

4 この法律において「特定登記未了土地」とは、所有権の登記名義人の死亡後に相続登記等(相続による所有権の移転の登記その他の所有権の登記をいう。以下同じ。)がされていない土地であって、土地収用法第三条各号に掲げるものに関する事業(第二十七条第一項及び第三十九条第一項において「収用適格事業」という。)を実施しようとする区域の適切な選定その他の公共の利益となる事業の円滑な遂行を図るため当該土地の所有権の登記名義人となり得る者を探索する必要があるものをいう。

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長期間にわたり相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)

長期間にわたり相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)というものが法務局から届いた…

この記事をお読みのあなたは、「長期間にわたり相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」というものを法務局から受け取られたからではないでしょうか。

突然役所からこのような通知を受け取った場合、誰でも驚かれると思います。

もちろん、相続登記が未了であることに覚えのある方もおられるでしょうし、まったく覚えのない方もおられると思います。

いずれにせよ、通知の内容は「相続登記をしてください」という法務局からのお願いになっています。

この通知が来たことにより罰金等のペナルティや今すぐ登記の義務が発生するわけではないので、とりあえずご安心ください。

ただし、相続登記については、令和6年4月1日から義務化(未了の場合にはこの日より3年以内)になりますので、ご注意ください。

通知を受け取ったらまずは調査

「長期間にわたり相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」を受け取った場合、まずは調査を行いましょう。

通知には、次の事項が記載されているはずです。

  1. 不動産番号及び不動産所在事項(複数の不動産を所有している場合には、「他別紙のとおり」と記載)
  2. 現在の所有権の登記名義人
  3. 法定相続人情報の作成番号

1の情報があれば、全国どこの法務局でも登記事項証明書(登記簿謄本)を取得することができます。

登記事項証明書(登記簿謄本)の記載例は次のようになっています。

問題は3の法定相続人情報になりますが、これはその土地を管轄する法務局で閲覧をする(書面はもらえますが公印が押されません)方法しか無く、遠隔地の場合には、容易に確認することができません。

この場合、その管轄の法務局の近くに住んでいる相続人がいればその方に頼むと良いでしょう。

司法書士や知人に頼むのであれば、委任状を交付のうえ、身分証明書(免許証やマイナンバーカード等)のコピーも一緒に渡してください。

登記事項証明書(登記簿謄本)は1通600円、法定相続人情報の一覧図は450円となり、収入印紙で納めます。

法定相続人情報の閲覧に関する委任状は、下記からダウンロードしていただけますので、ご自由にお使いください。

長期相続登記等未了土地法定相続人情報閲覧申請委任状

調査が終わったら相続登記をしておきましょう

相続登記が終わっていない土地の登記事項証明書(登記簿謄本)と法定相続人情報一覧図をもとに、相続登記の手続きを始めましょう。

相続関係がかなり複雑になっていることも考えられますので、法定相続人情報一覧図をパッと見て、連絡を取れなさそうな方が何人も見受けられるようであれば、一度司法書士等の専門家にご相談されると良いでしょう。

相続人全員と連絡が取れるようになれば、その土地をどうするのか決めなければなりません。

くれぐれもお一人で相続登記を進めないようご注意ください。

長期相続登記等未了土地について、相続人間で話し合いがまとまれば、遺産分割協議書を作成し、相続登記を行います。

法定相続人情報の作成番号を利用すれば相続登記が楽になる

通常相続登記を申請する場合には、様々な戸籍等や住民票等が必要になりますが、法定相続人情報の作成番号を提供することにより、戸籍等を提供しなくてもよいという取扱いになっています。

これは法定相続人情報の作成時に法務局ですでに確認が終わっているため、再度の提出は不要だからです。

ただし、相続人の全部又は一部が判明しなかった場合は除かれます。

この場合、登記事項証明書(登記簿謄本)に「(相続人の全部(又は一部)不掲載)」と記載されることになります。

相続関係が複雑になればなるほど戸籍等の収集費用・作業も大変なものになるので、この機会に相続登記を手軽に済ませておきましょう。

まとめ

「長期間にわたり相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」を受け取った場合、その土地は長期相続登記等未了土地という付記登記がされたことになります。

地方公共団体等の行おうとしている公共事業の実施区域内に当該土地があるため、このような調査がされ、通知がされています。

令和6年4月1日から相続登記も義務化になりますので、是非これを機会に相続登記をするようにしてください。