身分から契約へ・・・自由への翼

「身分から契約へ」とは、英国の法学者で、法学研究に歴史的・比較法学的方法を導入したメーンの名著「古代法」にて述べられた一説である。

「進歩的な諸社会の推移はこれまでのところ、身分から契約への推移であった」とし、近代以前の農奴制・封建制経済社会から資本主義的な私的所有と近代的自由取引への移行を端的に表している。

ご存知のとおり、近代以前の農業生産中心社会においては、人間は家族的束縛と村落共同体という小さなコミュニティの中で存在し、身分や階級が法律関係の基礎となり、自由な意思形成は抑圧されていた。

やがて産業革命が起こり、資本主義社会へと突入すると、社会は私的所有と自由な意思形成を求めるようになった。

自由意思の表明・結合、その際たるものが契約であり、ここから私的自治の原則、すなわち契約自由の原則が波及することになるのである。

人間は、人間という身分に、契約という名の自由の翼を得て大きな世界を切り開いてきたのである。

そして、自由は責任を伴う。

常に責任を意識しなければ、この大きな空からあっという間に失墜してしまうことを心掛けておかなければならない。

アーメーン。

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