医療法人の資産の総額の変更登記(債務超過の場合も含む)

そもそも医療法人の登記については、医療法に規定があるわけではなく、学校法人や農業協同組合等と同様に、組合等登記令によって規定がされています。

この組合等登記令では、設立の際に登記した事項に、その後変更が生じた場合は、2週間以内に、その主たる事務所の所在地において変更の登記を申請することを義務づけています。(組合等登記令第3条第1項)

設立の際に登記した事項とは、組合等登記令第2条第2項各号に規定があり、そのうち第6号は、「別表の登記事項の欄に掲げる事項」とあります。

この「別表の登記事項の欄」に、「資産の総額」と「医療法第四十六条の三の六において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第四十七条の二に規定する電子提供措置をとる旨の定めがあるときは、その定め」という記載があります。

ですので、「資産の総額」に変更があった場合、これを登記する必要があります。

(設立の登記)

第二条 組合等の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可、出資の払込みその他設立に必要な手続が終了した日から二週間以内にしなければならない。

 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

 目的及び業務

 名称

 事務所の所在場所

 代表権を有する者の氏名、住所及び資格

 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由

 別表の登記事項の欄に掲げる事項

別表一部抜粋

医療法人医療法(昭和二十三年法律第二百五号)資産の総額
医療法第四十六条の三の六において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第四十七条の二に規定する電子提供措置をとる旨の定めがあるときは、その定め

(変更の登記)

第三条 組合等において前条第二項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。

 前項の規定にかかわらず、出資若しくは払い込んだ出資の総額又は出資の総口数の変更の登記は、毎事業年度末日現在により、当該末日から四週間以内にすれば足りる。

 第一項の規定にかかわらず、資産の総額の変更の登記は、毎事業年度末日現在により、当該末日から三月以内にすれば足りる。

組合等登記令 | e-Gov法令検索

そもそも資産の総額とは、純資産のことをいいます。

医療法人は、医療法第51条の規定により、毎会計年度終了後2月以内に、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、関係事業者(理事長の配偶者がその代表者であることその他の当該医療法人又はその役員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者をいう。)との取引の状況に関する報告書を作成し、監事の監査を受け、理事会の承認を得る必要があります。

つまり資産の総額が毎会計年度末日現在により確認されるところから、医療法人の資産の総額の変更登記は、組合等登記令第3条第3項の規定により、毎会計年度末日から3月以内にすれば足りるとされています。

資産の総額が債務超過の場合には、『「資産の総額」金0円(債務超過額金〇〇円)』という登記をすることになります。

登記申請に必要となる書類は、資産の総額が確認できる監事又は理事長の奥書を付した財産目録のみとなります。

財産目録の写しに「本社団の財産目録に相違ありません。医療法人社団〇〇 理事長〇〇」と記載のうえ、理事長印(法務局届出印)を押したものがこれにあたります。

財産目録が電磁的記録で作成されている場合には、電子署名された電磁的記録を申請書に添付して提供する必要があります。

医療法人の登記について「分からない」「分かりにくい」とお悩みでしたら、お気軽に当法人までお問い合わせください。

全国対応させていただいております。

Follow me!