実質的支配者リスト制度(BOリスト制度)①

実質的支配者リスト(BOリスト)について

実質的支配者(BO:Beneficial Owner)とは?

実質的支配者とは、法人の事業経営活動を実質的に支配することが可能となる関係にある自然人(国及び地方公共団体並びに上場会社等又はその子会社は自然人とみなされます。)のことをいいます。

判定する基準は、法人の形態によって異なります。

まず、法人の形態が、資本多数決法人であるか否かを考えます。

資本多数決法人とは、株式会社、特例有限会社、投資法人、特定目的会社等のことをいいます。

資本多数決法人に該当しない法人は、合同会社、合資会社、合名会社、一般社団法人、一般財団法人、医療法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人、NPO法人等になります。

その後、次の表に従って実質的支配者を判定することになります。

実質的支配者リスト(BOリスト)とは?

実質的支配者リスト(以下、「BOリスト」という。)は、令和4年1月31日から商業登記所(法務局)において運用されている新しい制度になります。

この制度は、株式会社又は特例有限会社からの申出により、商業登記所(法務局)が、その会社のBOリストについて証明してくれる制度です。

上述のとおり、このBOリストの制度を利用することができるのは、現在のところ、株式会社と特例有限会社のみとなっています。

このBOリスト制度創設の背景には、国際的な要請(FATF勧告24)や金融機関からの公的なBOリストの要求が強かったこと等があります。

金融機関には、口座開設時や定期的に口座名義人の実態確認のため等、法人の実質的支配者を確認する義務が課せられています。

この場合、今までの取扱いとしては、会社が保有している株主名簿をプリントアウトしたものに「当会社の株主名簿に相違ありません」と記載し、会社名と代表取締役を入れ会社代表印を押したものを作成したり、場合によっては、同族会社等の判定に関する明細書(いわゆる別表二)であったりしたようです。

これらはいずれも自己証明文書にすぎず、金融機関としては、信頼できる公的機関によるBOリストの発行を要望していましたので、これがようやく実現された形になります。

また、会社側にもメリットとして、BOリストは無料で作成することができ、必要に応じて再発行(無料)もできるので、事務が簡便になることが期待されます。

BOリストの対象になる実質的支配者とは?

このBOリスト制度の対象になる実質的支配者は、最初に述べた実質的支配者とは異なり、少し限定的なものになっています。

次の(1)及び(2)が、BOリスト制度の対象となる実質的支配者となります。

(1)会社の議決権の50%超を直接又は間接に保有する自然人等(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合は除きます。)

(2)(1)に該当する自然人等がいない場合は、会社の議決権の25%超を直接又は間接に保有する自然人等(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合は除きます。)

BOリストの申出の手続きの流れ等については次回記載したいと思います。

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