秘密証書遺言ってはじめて聞いたんだけど・・・

秘密証書遺言という言葉をはじめて聞いたという方も少なくないと思います。

ということで、遺言の種類について規定してある民法の条文を挙げてみたいと思います。

民法第967条(普通の方式による遺言の種類)

遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

このようにれっきとした遺言の一つとして、キチンと規定されていますね。

にも関わらず、遺言書を作成するときに選択されるのは、ほぼほぼ「自筆証書遺言」か「公正証書遺言」のどちらかです。

  ▷自筆証書遺言について詳しく知りたい方はコチラ

どうしてこの「秘密証書遺言」はあまり使われていないのでしょうか。

秘密証書遺言があまり使われていない理由

秘密証書遺言が世間一般であまり認知もされておらず、利用もされていない理由として、メリットの少ない割に手間がかかる、ということがあると思います。

しかしながらメリットが全くないというわけではなく、場合によっては選択肢の一つとして候補にあがることもあるかもしれません。

まずはそのメリットについて考えていきたいと思います。

秘密証書遺言のメリット…何を秘密にできるのか

遺言の内容を秘密にしておくことができる

秘密証書遺言も公正証書遺言と同様に、その作成に公証人や証人2人以上の関与が必要となりますが、公正証書遺言と違って公証人や証人が遺言書の内容を知ることはありません。

ですので、一切誰にも知られたくない遺言書を作成したい場合には選択の余地があります。

遺言書の全文を自書しなくてもよい

自筆証書遺言と違って、その全文を自分で書く必要がありません。

その際に注意すべき点は、署名と印鑑を押すことを忘れないようにしておくことです。

この後、封筒に入れて封印をしてしまうので、確認できなくなってしまいます。

必ずフルネームを自書し、印鑑を押し、その印鑑の種類を覚えておきましょう。

同じ印鑑で封筒に封印をしなければならないからです。

ただし、もし可能であれば、自筆証書遺言を作成するつもりで、全文を自書されることをおすすめいたします。

何らかの原因によって秘密証書遺言としての方式を欠くような事態になっても、封筒の中の遺言書が自筆証書遺言の方式を満たすものであったなら、それは自筆証書遺言として扱われるからです。

遺言書が発見される可能性を上げることができる

公正証書遺言と同様に、秘密証書遺言を作成するには、公証人の関与が必要となります。

そして秘密証書遺言が作成された場合、公証役場にその記録が残ります。

ですので、最寄りの公証役場に行き、遺言書の有無の確認をすることで、作成されたかどうか分かります。

ただし、秘密証書遺言書本体は公証役場で保管されないので、別途探さなければなりませんが、少なくとも存在の有無は確認できるので、自筆証書遺言よりは発見される可能性が上がります。

偽造や変造を防止することができる

秘密証書遺言は、遺言者自ら作成した遺言書を封筒に入れ封をしたうえで、公証人が封紙に署名等をするので、偽造や変造のリスクを減らすことができます。

この封が破られていたり、開かれた形跡がある秘密証書遺言書は法律上の効果が認められません。

秘密証書遺言のデメリットにはどんなことがあるのか

遺言の内容を誰もチェックしていない

秘密証書遺言はその内容を誰にも秘密にしたまま作成することがメリットであると述べましたが、それは逆に誰のチェックも受けていないということになります。

作成には公証人が関与しますが、その内容を確認しないので、果たしてその秘密証書遺言のとおりに遺言の内容が実現できるかは分かりません。

自筆証書遺言と比べて手間や費用がかかる

自筆証書遺言は一人で作成を完結することができますが、秘密証書遺言の場合、公正証書遺言と同様に公証人の関与が不可欠です。

そのため、公証役場に行く手間であったり、手数料として11,000円かかります。

また次に述べる証人2人をご自身で準備できない場合、その費用も追加でかかってしまいます。

証人2人以上を用意することが容易ではない⁉

秘密証書遺言の作成には、証人2人以上が必要となります。

法律では2人以上となっていますが、通常2人いれば十分です。

遺言書の内容について知られることはないので、知人や友人にお願いしても良いですし、公証役場で費用はかかりますが手配をお願いすることもできます。

  ▷遺言書の証人になれる人について詳しく知りたい方はコチラ

それでもやっぱり見つからない…紛失の可能性も⁉

秘密証書遺言は自筆証書遺言と同様に、自分で保存管理しておかなければなりません。

秘密証書遺言を作成したことは、最寄りの公証役場に問い合わせることで分かります。

しかし、保管した場所を登録するようなシステムではないので、あなたが亡くなった後、探し当ててもらわなければなりません。

普段見つからないようにと複雑な場所に隠してしまうと、結局相続開始後も見つからなかったり、あなた自身が何処に隠したかを忘れてしまい、紛失という可能性があることも拭いきれません。

対策として、エンディングノートなどに記載しておくのが良いかもしれません。

検認しないといけないの??

公正証書遺言と自筆証書遺言書保管制度を利用した自筆証書遺言以外の遺言は、必ず家庭裁判所の検認を受けなければなりません。

遺言書の保管者又は発見した相続人は、勝手に封印されている遺言書を開封することはできず、遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出して、検認を請求しなければならないと定められています。

この検認手続きに手間と時間がかかってしまいますので、遺言の執行に取り掛かることができる時期が遅くなってしまいます。

  ▷検認が必要な理由やその手続きについて詳しく知りたい方はコチラ

それでもやっぱり秘密証書遺言を作りたい!!

秘密証書遺言の作成方法

①遺言書の本文を作成する

遺言書の本文を作成します。

自筆証書遺言と違い、全文を自書する必要はありませんので、パソコンや代筆で作成されたものでも問題ありません。

唯一気を付けなければならないのが、必ず自分の字で氏名を書き(署名)、その後ろに印鑑を押すことです。

遺言書の内容は、コチラを参考にしてください。

②封印をする

作成した遺言書を封筒などに入れて封をし、必ず遺言書に押した印鑑と同じ印鑑を使って封印をしてください。

③公証役場で証明してもらう

公証役場へあらかじめ連絡をし予約を取り、予約日当日に封印した遺言書(封書)を持参します。

公証人1人と証人2人の前に持参した封書を提出し、自分の遺言書である旨とその筆者の住所氏名を申し述べます。

公証人がその封紙上に日付と遺言者の申述を記載し、遺言者と証人2人とともにその封紙に署名押印をすることで作成は完了します。

④自宅等で保管する

作成後の保管は自己責任になります。

仏壇の引き出しや金庫の中など好きな場所で保管してください。

場所を忘れてしまったり、死後見つけてもらえるようにエンディングノート等に記載しておくのも良いかもしれません。

まとめ…結局のところ秘密証書遺言はどうなのか

秘密証書遺言は中間的な立ち位置

秘密証書遺言は、公正証書遺言と自筆証書遺言の中間的な立ち位置であり、選択されることの少ない遺言になります。

特に自筆証書遺言に自筆証書遺言書保管制度が創設されて以降、より選択される場面は減ったのではないかと思います。

この遺言を選択するのは、遺言書の全文を自筆で書くことは困難だが、その内容には自信があり、署名くらいは可能で、公証人や証人にも遺言書の内容を知られたくなく、偽造や変造をできるだけ防ぎたいが遺言書自体は自分で保管しておきたい、という人かと考えます。

秘密証書遺言の作成に興味があり、もっと詳しくお知りになりたい方は、ご遠慮なくお問い合わせください。